土地のこと
仮換地(かりかんち)

土地区画整理事業の円滑な進捗と関係権利者の権利関係の速やかな安定を図るために、土地区画整理事業の施行者が、換地処分を行う前において、施行区域内の従前の宅地について仮に使用収益できる土地を指定する処分を仮換地の指定処分といい、このようにして指定された土地を仮換地という。仮換地の指定処分がなされると、従前の宅地の権原に基づいて使用収益をすることができた者は、仮換地の指定の効力発生の日から換地処分の公告がある日まで、仮換地について従前の宅地について有した権利の内容である使用収益と同じ内容の使用収益ができるが、従前の宅地については使用収益ができなくなる。
仮登記(かりとうき)

本登記を行う以前に書類の不足等必要な要件を完備していない場合において、将来の本登記に備え、順位を保全する目的で行う予備登記。
位置指定道路(いちしていどうろ)

建物の接道義務を満たすために特定行政庁から認可を受けた私道。幅員が4m以上で一定の技術的基準に適合していなければならない。
使用貸借(しようたいしゃく)

借主が貸主から目的物を無償で借りて使用収益し、後にその目的物を貸主に返還する契約をいう(民法593条以下)。借主は契約に返還時期の定めがあるときはその時期に、その定めがないときは契約に定めた目的に従い使用収益を終えたとき等に、目的物を返還しなければならない。使用収益の対価を支払わない(無償)点において賃貸借と異なる。使用貸借には、その目的物が住宅やその敷地であっても、借地借家法(平成4年7月31日までの契約の場合は、旧借地法、旧借家法、旧建物保護法)は適用されない。親族や雇用等特殊な人的関係のある者の間で約束されるが、そういう人的関係の崩壊したときに法的紛争を生ずることが少なくない。
借地権(しゃくちけん)

【地上権】又は【賃借権】の総称。地上権とは、他人の土地において、その土地を専用に使用する権利の事。地主に地代を払わず権利設定時に一括で支払うものもある。居住するためであればその上に建物を建てたり、改装や建て替えができ、地上権を転貸したり、登記したり、売買することもできる。一方、賃借権は土地を借りる権利で、地主に賃料を支払う。賃借権を譲渡したり転貸するには地主の承諾が必要。地上権は物権であるが、賃借権は債権である。
先行登記(せんこうとうき)

不動産取引においては、所有権移転登記の申請手続きおよび目的物の引渡しという売主の債務と、売買代金の支払いという買主の債務とは同時履行の関係にあるのが原則である(民法533条)が、金融機関が買主に融資する場合は担保を確保するため売主が最終代金を受け取る前に目的物の所有権移転登記等を金融機関から求められることがあり、これを実務界では先行登記と呼んでいる。なお、先行登記に伴う売主のリスクを回避するため、実務上、売主に借入金の受領権限を与える措置がとられる。
公図(こうず)

登記所にある旧土地台帳の附属地図を公図という。土地の区画や地番が記入されているので、土地の事実概要を知ることができる。不動産取引における重要な資料として機能しているものの、古い資料なために精度が低く、弊害も発生している。
公道(こうどう)

一般公衆用道路のうち、国または地方公共団体が道路敷地の所有権を有し、維持管理する道路のこと。
囲繞地(いにょうち)(いにょうち)

袋地を取り囲む他の人の土地。
固定資産税評価額(こていしさんぜいひょうかがく)

土地課税台帳等、家屋課税台帳等、償却資産課税台帳に登録されている金額。土地については、3年に1度の評価替えとなる。固定資産税はもちろん、登録免許税、不動産取得税などの課税標準となる。
地上権(ちじょうけん)

他人の土地において、工作物または竹木を所有するため、その土地を使用する物権をいう(民法265条以下)。契約によって設定されるのが原則である。建物所有を目的とする地上権は、借地権として借地借家法の保護を受ける。地上権はその譲渡・転貸が自由であること等、賃貸借と比較して借地権設定者に不利益なため、わが国では土地利用契約のほとんどが賃貸借契約であるといわれている。地上権はたとえば地下鉄または高架線等のため、地下または空間にも設定することができる(同法269条の2)。このような権利は「区分地上権」(いわゆる地下権・地上権)と呼ばれている。
地役権(ちえきけん)

地役権は、自己の土地の便益のために、他人の土地を利用する権利。たとえば、自己の土地と公道との間にある他人の土地を通行するための地役権、他人の土地を通って自己の土地に川の水や水道を引くための地役権、自己の土地の採光を確保するため隣地に一定の高さをこえる建物を建てさせないための地役権など種々考えられる。いずれも、他人の土地を全面的に使用するものではなく、その一部を利用するにとどまる点では、地上権や永小作権とは違いがある。高圧電線の下にも設定されている。
地籍測量図(ちせきそくりょうず)

おおむね昭和37年以降分筆された土地について、申請時に添付されることになった図面で法務局に保管されている。
基準地価格(きじゅんちかかく)

都道府県知事が、毎年7月1日現在における各都道府県内の基準地の標準価格を10月頃に公表するもの。国土利用計画法による土地取引の価格審査の指標とすることを目的としている。調査対象は公示価格(都市計画区域内)とは違って全国的である。
売渡承諾書(うりわたししょうだくしょ)

所有者が、所有不動産を売却する意思がある旨を買主又は仲介者にあてて表明する書面の事。なお、売渡承諾書を交付した段階ではまだ売買契約には至らない。また、発行者側はこれを自由に撤回することができる。
定期借地権(ていきしゃくちけん)

平成4年8月1日より施行された借地借家法で新たに創設された制度。更新がなく、定められた契約期間で確定的に借地関係が終了する。従前の借地法では、存続期間が満了しても借地権が消滅するわけではなく、正当事由が必要であった。その結果、借地権を設定することが躊躇され、設定する場合においては、高い権利金等の支払いが生じていた。そこで、借地借家法は、借地法の大原則である「存続期間が満了しても借地権は当然には消滅しない」という仕組みに対して、一定の場合には例外を認める、つまり一定の範囲で、更新のない借地権を認めることとし、新たに以下の3つの類型の定期借地権を創設した。存続期間を50年以上と定めることを要件とする「一般定期借地権」(同法第22条)。借地権を設定した日から30年以上を経過した日に借地上の建物を借地人から地主に譲渡することをあらかじめ約束して借地をする「建物譲渡特約付借地権」(同法第23条)事業目的で存続期間を10年から20年以下とする「事業用借地権」(同法第24条)。この定期借地権制度が利用されることによって土地を貸しやすく借りやすくなり、借地の新規供給、利用の幅が広がることが期待されている。
専属専任媒介契約(せんぞくせんにんばいかいけいやく)

媒介契約の一類型で、専任媒介契約に自己発見取引の禁止の特約。依頼者は、媒介を依頼した宅建業者が探索した相手方以外の者と、売買または交換の契約を締結することができない旨の特約を付した契約である。媒介契約を締結した業者は、書面の交付義務、価額等について意見を述べる際の根拠明示義務が課されているが、さらに専属専任媒介契約を締結した業者は、媒介契約の有効期間を3か月以内とすること、依頼者の申し出がないと期間の更新ができないこと等のほか、1週間に1回以上業務の処理状況について報告すること、媒介契約の締結日から5日以内に指定流通機構に当該物件に関する情報を登録することなどが義務づけられている。
専用庭(せんようにわ)

区分所有のマンションや賃貸物件で、1F居住者が専用で使用できる庭のこと。区分所有の場合、庭部分も通路やバルコニーと同じく共有部分ではあるが、毎月使用料を払うことによって専用使用できる。
差押(さしおさえ)

民事訴訟法上、債権保全のために執行機関が債務者の財産の処分を禁止する強制行為。 競売や公売手続きの開始と同時に行なわれる。
市街化調整区域(しがいかちょうせいくいき)

都市計画法に基づく都市計画区域内のうち、市街化を抑制する区域。
徒歩所要時間の表示(とほしょようじかんのひょうじ)

宅建業者が一団の宅地または建物の分譲の広告をする場合に、当該団地から各施設までの距離または所要時間について表示をするときは、不動産の表示に関する公正競争規約12条9および12により、道路距離80mにつき1分を要するものとして算出し、1分未満の端数については1分に切り上げることとしている。坂道、歩道陸橋は考慮されず、信号の待ち時間も含まれない。団地から駅その他の施設までの徒歩所要時間を計る場合、それらの施設から最も近い団地内の地点が起点となる。
接道義務(せつどうぎむ)

都市計画区域内において、建築物の敷地が建基法上の道路(自動車専用道路を除く)に2m以上接しなければならないことをいい、建築物およびその敷地の利用の便宜、避難・消防活動の確保等を図るため、道路のないところに建築物が立ち並ぶのを防止することを目的としている。なお、大規模な建築物や多量の物資の出入りを伴う建築物などについては、その用途または規模の特殊性に応じ、避難または通行の安全の目的を達成するため、地方公共団体は、条例で敷地と道路の関係について必要な制限を付加することができることとされている(建基法43条)。
敷延(しきえん)

敷地延長地の略。道路と接する部分が路地状になっている土地。形が旗竿に似ているため旗竿地という人もいる。一定の建築物が制限される。
旧公図(きゅうこうず)

公図は約20年ほど前からA2サイズの透明なフィルムに書き直されている。(マイラー化)書き直す前の公図を旧公図という。巻物になっていて保管されているので閲覧するときは登記所の係員に申告する。
更地(さらち)

土地形状のうち、建築物が無く、平坦にされた土地のこと。
更正登記(こうせいとうき)

登記手続きの際に申請人(代理人を含む)または、登記官の過誤もしくは遺漏により実体と異なった登記がされた場合にこれを訂正する登記。附記登記形式でなされ、当事者の申請で行われる。登記官の過失によるものは職権で行われる。
登記済証(とうきすみしょう)

登記完了後、登記原因証書または申請書副本に登記官が登記済の旨の記載をして、登記権利者に返還する書面。この登記済証を所持していることで正式な権利者と推測される。次の移転登記の際には、この登記済証を提出する。登記済証は紛失しても再発行されず、その場合は保証書で代用する。
私道負担(しどうふたん)

不動産取引において、売買等の対象となる土地の一部に私道の敷地が含まれている場合に、この私道敷地部分を私道負担という。私道には建基法42条の道路となる私道以外にも、通行地役権の目的となっているようなものを含む。
移転登記(いてんとうき)

ある権利を有した人から他の人へその権利が移転したことによってなされる登記をいう。記入登記のひとつである。記入登記とは登記をその内容によって分類した場合のひとつで、新しい登記事項が生じた場合これを登記簿に記入することを目的としてなすものをいい、ほかに表示登記、保存登記、設定登記および処分制限の登記がこれに属する。移転登記は、附従性を持つ地役権を除き、登記できるすべての権利についてなされる。なお、所有権の移転登記は主登記でなされ、所有権以外の権利の移転登記は附記登記でなされる。
越境(えっきょう)

建物または建物の付属物が敷地境界線を越えていること。実害がない場合が多いが売買対象が越境している(されている)場合は将来是正する書類を取り交わしておくことが望ましい。
都市計画区域

都市計画区域(としけいかくくいき)とは、都都道府県知事が指定し、原則として市または町村の中心部を含み、一体的に整備・開発・保全する必要がある区域のことです。
都市計画区域に指定されると、必要に応じた区域区分、さまざまな都市計画の決定、都市施設の整備事業や市街地開発事業が施行され、一定以上の規模の土地については、開発許可制度が施行されるため、自由な土地造成等が制限されます。都市計画区域の区域区分には、既に市街地を形成しているか、または概ね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき「市街化区域」、市街化を抑制すべき「市街化調整区域」、どちらにも定められていない「未線引き区域」があります。
開発許可(かいはつきょか)

市街化区域および市街化調整区域に関する都市計画が定められた都市計画区域内で、一定面積以上の開発行為を行おうとする者に、知事または政令指定都市の長が与える許可をいう(都計法29条)。 許可を必要とする面積は政令で原則として1,000平米以上とされているが、三大都市圏の一定の地域については500平米以上とされている。また、都道府県の規制により区域を限って300平米までの範囲で別に定めることができるものとされている。また、当該都市計画が定められていない都市計画区域においても3,000平米以上の開発行為を行う場合は同様にこれが必要である。 市街化区域内での原則として1,000平米未満の開発行為、都市計画が定められていない都市計画区域内での農林水産業の用に供する建築物と、これらを営む者の住宅建設、駅舎等の鉄道施設・医療施設等公益目的のもの、国や地方公共団体の行うもの、都市計画事業・土地区画整理事業・市街地再開発事業・住宅街区整備事業・竣工告示前の埋立地開発・災害時の応急事業・通常の管理行為や軽微な仮設行為は許可を要しない。